奥多摩の道迷い遭難2017-10-12

ヤマケイ11月号

■曇
 ヤマケイ11月号の見本が送られてきました。この号で奥多摩の道迷い遭難について書いています。
 山の遭難というのは、起こってしまって後から考えると、わりあいシンプルで簡単なことが多いです。道迷いだったら、どこかの分岐を誤って正しいルートを外してしまうことに始まります。誤ってからどこかの時点で「おかしいな?迷ったかも……?」と感じてくるのですが、どれくらいの感度でその“迷った感”がはたらくかが問題なところです。すぐに気づいて、さっさと引き返せる人なら、とても簡単に正規ルートに戻れるでしょう。
 まちがえているのになかなか気づかない人、うすうす感づいても「まさか!迷ってないでしょ」と打ち消して歩き続ける人、「とりあえず、行ける所までいってみよう」と疑いながら歩きつづける人、――このへんが危ない人々です。
 というのは、進みすぎると意外に短時間で引き返すのが困難になってしまうからです。道迷いの心理的な負担というのが、普通に考えるよりもずっとキツイことなのです。
 どこかで何度か書いていますが繰り返します。
・10分進んでしまうと、戻るのは相当大変なように感じます。
・20分進んでしまうと、戻るのは不可能なくらいに感じます。
・30分進んでしまうと、もう全く戻れないと思うでしょう。
 下り続けるほうが体力的にはもちろん、心理的にもずっと楽です。戻るために登り返すのは、大きな勇気と気合いを必要とします。だから、10~15分以内に戻れるか、言い換えると10~15分以内にルートミスに気づけるかどうかがカギになります。
 ヤマケイ11月号の記事では、前半では2015-16年中に奥多摩(青梅署管内)で発生した全遭難リストと、その発生場所をのせました。
 後半ではいくつかの道迷い事例を紹介して、実際に現地に行って、どこで道迷いになったのかを調べて推測しています。
 首都圏在住の登山者なら、身近な奥多摩での遭難を考えることは、遭難しないしっかりした登山者になるために役立つと思います。