アクセス問題を考える(1)2018-01-11


アクセス問題[再考]
■快晴
 横浜のカモシカスポーツで雑誌『ROCK CLIMBING』(6号)を買いました。
 合田雄次郎さんの「アクセス問題<再考>」をきちんと読んでみたかったからです。ひととおり読みましたが、けっこうラフな形式で断片的に書かれていて、しかも連載の6回目ということで、合田さんの考えの全体像はわかりませんでした。
 ただ、今回の核心となる部分は、「日本版アクセスファンド」を持ち出して、軽く提案しているところだと思います。アクセス問題の解決策の一案として、こういう組織を検討すべき時期が来ている、と言っています。
 この組織は、問題の交渉や解決にあたるというよりも、「岩場がある土地ごとクライマーが所有し運営していく」という狭い意味のもの、とも述べています。

 アクセスファンドはアメリカに以前からあって、山岳やクライミング関係の企業・団体、または個人から寄付金を集めて、岩場のアクセス問題の解決にあたると同時に、岩場の安全対策を進めるという組織でした。リボルトなどによる岩場の維持活動も含まれます。
 現在の日本では、日本フリークライミング協会(JFA)がアクセス問題対策や岩場のリボルト事業を行う代表的な組織になっています。
 『ROCK CLIMBING』には合田さんがどういう人なのかの紹介が一切なく、一般読者のほうを向いているのかと驚きます。合田さんは弁護士で、日本山岳・スポーツクライミング協会の理事でもあります。同協会やJFAを活動の中心として、今後アクセスファンド設立を検討していきたいとの希望だと推測します。

 しかし、私自身も2000年ごろからアクセス問題を経験してきて、当時からアクセスファンドのような組織の必要性が言われてきました。そして、アクセスファンドができるなら、それは「色のついていない完全な実務的組織」であってほしいという願望がありました。
 合田さんの言うアクセスファンドは、岩場を買い取り所有すると言います。クライマー関係の組織が岩場を所有し、クライミングを「許認可」するようになります。そうすると、登り方にも一定のルールがかけられ、ルート開拓は(許可された以外の人は)原則禁止となるでしょう。アクセスファンドはクライマーに対して少なからず権力を持つことになり、クライマーは「許認可」と同時に、一定の管理を受けながら登ることになります。
 どんな形にせよ、岩場が登れればそれでいいと言えるのでしょうか? そういう点について、私自身はまだ考え中で結論を出せていません。