那須雪崩事故のまとめと教訓-5A ― 2018-03-05
■雨
《「報告書」公表以後の動向》
2017年10月15日に公表された検証委員会による事故調査報告書(以下「報告書」)は、その後の高校登山部の動向に大きく影響することになりました。その内容は、基本的に個人の責任を追及することはせずに、高体連登山専門部はじめ組織の問題点を指摘して、改善への指針を繰り返し強調しているのが特徴です。
スポーツ庁(2015年文部科学省外局として新設)はこれまで、「高校生の冬山登山は原則禁止」とする通達を出してきました。2017年は特に「報告書」を踏まえた内容で、12月1日付「冬山登山の事故防止について(通知)」を出しています。そこでは高校生の冬山登山を原則禁止とし、「冬山登山」とは主に積雪期登山の意味で、講習会・研修会のような形式も含まれること、時期にかかわらず積雪期特有の危険性を伴う環境下で行う活動、というように明確に記載しました。さらに、高校生等が例外的に冬山登山を行う場合の条件・留意点を、次のように5項目明記しています。
①適切かつ安全な場所での基礎的な内容にとどめること
②複数の指導者が引率し、うち1人は積雪期登山の専門家や有資格者(または準ずる者)であること
③登山計画審査会(仮称)の事前審査を受けること
④校長及び保護者の了解を得ること
⑤生徒への事前指導等を実施すること
スポーツ庁の方針によって、登山関係者が最も危惧していた「高校生の雪山登山全面禁止」の方向性は、少なくとも今年度は避けられたと言えます。このことは、何より「報告書」に表明されていた結論が、同様の方向性だったことが大きいでしょう。
また、長野県では早くから、高校生の冬山登山を全面禁止することはあり得ないと表明しており、那須雪崩事故を受けて「高校生の冬山・春山登山における安全確保指針検討委員会」を発足させていました。そこで審議されていた「安全指針」つまり高校生の雪山登山ガイドラインは、「報告書」公表とほぼ同時期の10月26日に策定されました。
「報告書」、スポーツ庁通知、長野県の安全確保指針は、同じ方向を向いており、高校生の基礎的な雪山登山体験を上記の条件のもとで認めていこうとするものです。それと並行して、登山部顧問・生徒が雪山登山の正しい理論・方法を学習できるように、さまざまな機会を提供しようとしています。(続く)
《「報告書」公表以後の動向》
2017年10月15日に公表された検証委員会による事故調査報告書(以下「報告書」)は、その後の高校登山部の動向に大きく影響することになりました。その内容は、基本的に個人の責任を追及することはせずに、高体連登山専門部はじめ組織の問題点を指摘して、改善への指針を繰り返し強調しているのが特徴です。
スポーツ庁(2015年文部科学省外局として新設)はこれまで、「高校生の冬山登山は原則禁止」とする通達を出してきました。2017年は特に「報告書」を踏まえた内容で、12月1日付「冬山登山の事故防止について(通知)」を出しています。そこでは高校生の冬山登山を原則禁止とし、「冬山登山」とは主に積雪期登山の意味で、講習会・研修会のような形式も含まれること、時期にかかわらず積雪期特有の危険性を伴う環境下で行う活動、というように明確に記載しました。さらに、高校生等が例外的に冬山登山を行う場合の条件・留意点を、次のように5項目明記しています。
①適切かつ安全な場所での基礎的な内容にとどめること
②複数の指導者が引率し、うち1人は積雪期登山の専門家や有資格者(または準ずる者)であること
③登山計画審査会(仮称)の事前審査を受けること
④校長及び保護者の了解を得ること
⑤生徒への事前指導等を実施すること
スポーツ庁の方針によって、登山関係者が最も危惧していた「高校生の雪山登山全面禁止」の方向性は、少なくとも今年度は避けられたと言えます。このことは、何より「報告書」に表明されていた結論が、同様の方向性だったことが大きいでしょう。
また、長野県では早くから、高校生の冬山登山を全面禁止することはあり得ないと表明しており、那須雪崩事故を受けて「高校生の冬山・春山登山における安全確保指針検討委員会」を発足させていました。そこで審議されていた「安全指針」つまり高校生の雪山登山ガイドラインは、「報告書」公表とほぼ同時期の10月26日に策定されました。
「報告書」、スポーツ庁通知、長野県の安全確保指針は、同じ方向を向いており、高校生の基礎的な雪山登山体験を上記の条件のもとで認めていこうとするものです。それと並行して、登山部顧問・生徒が雪山登山の正しい理論・方法を学習できるように、さまざまな機会を提供しようとしています。(続く)
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